ソファの搬入 その3

赤帽さんの高い営業マインドに感服しながら現地に到着。

玄関を開けると手摺がつけられる前の階段の前につけられるべく手摺が横たわっている。少しばかり嫌な予感を胸に秘めたまま赤帽さんと2人3脚で階段へと進む。赤帽さんは能天気に荷物の搬入に一生懸命だ。

一段、二段と上がったところだろうか、嫌な予感は的中し、ソファの向きが変わらない。完全にスタックした状態となる。縦を横にするなどチャレンジもできないほど明らかに入らない。なす術もなく、赤帽さんも

「これは難しいですね」

そんな能天気な言葉を投げかけてきたと思う。

結局工務店に電話し、1階の部屋に放置をさせてもらうことでその日はソファを残して帰宅。目的の手摺が着く前にソファをあげるという事は達成できず、無駄に6300円を支払っただけになってしまった。

失意の中、赤帽さんが「本番の引越しもお願いします」と別れ際に残したセリフが苦笑いを誘った。