契約準備

日曜だった。

申し込みには契約書へのサインと手付金がいるのだそうだ。通常は価格の1割程度が相場だと営業車野中で聞いたものの、そんなお金を銀行がしまっている今、すぐに用意できるわけがない。また、あったとしてもそれだけのお金をのっけから払うほど自己資金に余裕もない。(尤も、自己資金については事前に伝えてあったので、なんでここで1割の話を持ち出されたかは少々謎・・・)

 

とりあえず100万円を現金で支払うことになり、また営業マンは営業マンで契約書の準備と値切り交渉のために一度オフィスに戻ってから夕方に再度迎えに来ると言い残して、僕を家で降ろした。

それまでの間に100万円を用意しなければならない。タンス貯金で賄えないため、コンビニに走りお金をおろす。わずか2分のコンビニからの帰り道が妙に長く感じた。

 

この時は、どこか興奮していて、真っ当な精神状態ではないのかもしれない。家にいてもなんとなくふわふわと落ち着かず、自家に電話をかけて「買おうと思っている」と告げると、普段聞いたこともないような叱られ方をした。38歳にして叱られるとは、、と思いつつも、もう後戻りはできないし、したくないところまで来ていた。

 

その間、営業マンから連絡が入り、別の人が申し込みをしてきており、彼らは「定価でもいいから買いたい」と言っているそうだ。聞くとXX店のトップ営業マンが連れてきていた先ほど出くわした家族だったよう。意思表示が自分の方が早かったため、値切りの件も含めて、すでに託してあるということで、担当営業マンの所属する店舗の店長が本社に掛け合いに行くということの中間報告だった。

 

そんなこともあって、まっている4-5時間は、家では何もしていなかったと思う。携帯がなり、12月ですっかり暗くなった日曜の夕方に、迎えに来た営業車に大金と印鑑を持って乗り込んだ。