10軒目 宮前3丁目 後編

事前にメールを送っていた友人に感想を告げたところ、「俺もみにいく」と。彼も少し前まで家探しをして、実際に家を建てた経験を持つので心強い。冷静な目でもう一度見てみたかったという思いもあって、営業マンに連絡し、翌週も見に行くことにいた。営業マンも喜んでいた。

週末、友人と落ち合う予定時間より少し前に現地につくと、2組ほど物件を見に来ているグループが。家族連れと50代くらいの夫婦。オープンハウスの各営業マンが条件似合う物件ということで連れてきていたよう。彼らはライバルである。

自分はすでに先週に色々見ていたこともあり、友人が来るまでの間はGoogle Mapで事前に見て気になっていた周辺の建物などを見に行った。意外と気にするほどでもなさそう。

待つこと20分ほどだったろうか、友人が来るまで現れた。

 

「場所、サイコーだな」

 

開口一番のこの一言でかなり安心したのを覚えている。その後もわずか5〜10分程度だったと思うが、彼が繰り返し述べたのは「場所がいい」だった。

 

その間も、ライバルが来ては去っていく。自分の検討していた隣のエリアが先週見学に来ていた人によってもう契約になりそうだ、という話を営業マンより途中でボソッとささやかれた。新たに見学に来た家族を連れてきたのはオープンハウスXX店のトップ営業マンだそうだ。

 

見学を終えた営業車の中で、僕は聞かれるより先に口を開いていた。

 

「ここに決めようと思います」